涙道の病気(涙道閉塞症、涙嚢炎) 涙道疾患について 涙は目の耳側上方にある涙腺から分泌され、目の表面を潤した後、目頭にある涙点(るいてん)、涙小管(るいしょうかん)、涙嚢(るいのう)、鼻涙管(びるいかん)を通って鼻腔(びくう)から抜けていきます。 この涙の排水経路を涙道といい、このどこかで詰まると、涙がうまく流れず、外に溢れてしまいます「流涙症(りゅうるいしょう)」。一般的に涙の通り道(涙道)のどこかで閉塞することによって起こる眼疾患を総称して涙道疾患といいます。 また、流涙の原因には涙道の病気以外に通常外向きに生えているまつげが内側に生えている「さかさまつげ(眼瞼内反症)」や結膜が通常状態よりも強く弛緩(たるむ)してしまう「結膜弛緩症」なども原因となります。 この記事では、涙や涙道にまるわる病気や治療について解説します。 この記事で解説していること 涙道疾患について 涙道疾患の主な症状︎ 涙道閉塞症(鼻涙管閉塞症)とは︎ 涙囊炎とは 涙道疾患の治療について 涙の経路 涙のはたらき 目次 涙道疾患の症状 主な涙道の病気 涙道閉塞症(鼻涙管閉塞症) 涙囊炎 涙道疾患の検査方法 涙道疾患の治療 涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術 涙嚢鼻腔吻合術(DCR:Dacryo-Cysto-Rhinostomy) 涙道疾患の症状 ・常に涙っぽい ・目やにが多い ・涙が溢れる ・涙で目の周りが腫れる ・涙で化粧が落ちてしまう 主な涙道の病気 涙道閉塞症(鼻涙管閉塞症) 涙道の一部(狭窄)、もしくは涙道の全てが塞がってしまい(閉塞)、 鼻腔に抜けるはずの涙が逆流してしまい、流涙症状を引き起こす状態のことです。 逆流により、涙が溢れ出すため、常に涙っぽい、泣いていないのに涙が溢れるなどの症状が出ます。 また、涙がたまることによって目やにが増えることがあります。 目と鼻の間にある涙囊内で細菌感染が起こると涙囊炎になります。 また、現在原因は分かっていませんが、40歳頃から発症の確率が上がり、女性の方がなりやすい傾向にあります。 涙嚢炎 涙道の一部であり、鼻の付け根部分にある涙をためておくところ(涙嚢)に炎症が起きた状態です。 目頭部分を押さえると粘液や目やにが出てくることがあります。 涙嚢に炎症を起こすと目頭、目頭の周囲の部分が赤く腫れ、強い痛みを引き起こすこともあります。 また、涙道が閉塞している、涙嚢炎が認められる場合、白内障手術などの手術の際に切開した傷口から眼球内に細菌が入り「眼内炎」を引き起こす危険性があります。 手術時のリスク低減のためにも涙道疾患は治しておく必要があります。 涙道疾患の検査方法 検査明室 ●細隙灯顕微鏡 細隙灯顕微鏡を用い、眼球表面の涙液量を調べます。 ●涙道通水検査 涙管に生理食塩水を注水し、鼻腔から抜けていくかを確認して涙道閉塞の有無を調べます。 ●涙道内視鏡 直径1mm以下の細い内視鏡を涙点から挿入して、涙道内の異物や炎症がないか、より詳細に確認します。 涙道疾患の治療 涙道疾患の場合、基本的には目薬や内服薬などで改善することはありません。閉塞部を開通させて涙の通り道を確保することが治療の目的となります。 閉塞部の場所により、治療の難易度や治療法が変わります。 涙道疾患の治療には、下記の2種類があります。 涙道内視鏡下涙管チューブ挿入術 局所麻酔を行い、涙道内視鏡を用いて、涙道の内側をカメラで確認しながら、狭くなっている部分や閉塞部を押し広げます。 閉塞が無くなった後、涙道にチューブを挿入し、2~3ヶ月間留置し、その後チューブを抜去します。 所要時間は15分程度で入院の必要はありません。 涙嚢鼻腔吻合術(DCR:Dacryo-Cysto-Rhinostomy) 涙の通り道と鼻腔をつなぐ新しい流れ道(バイパス)を作る手術です。 ※涙嚢鼻腔吻合術では入院が必要となるため、対応できる医療施設へご紹介させていただきます。